知りたいけど情報がない税務調査

税務署から連絡があるとちょっとかまえてしまいますが、内容が税務調査というとさらに慎重になってしまいます。ただ、ポイントをおさえておくことである程度は余裕を持って対応できます。今回は、知りたいけど情報がない税務調査についてお話します。

税務調査とは

法人個人問わず税務署がこちらまで出向いて書類やお金の流れを”確認”する作業が税務調査です。あえて”確認”としたのは、”なにか”あってもこの時点ではあくまでも疑いです。

あれもだめこれもだめと言うようなギスギスした調査というのはごく稀で、殆どは和やかに進みます。

税務調査の目的

税務調査は、申告書の内容と法人や個人の実態に差異がないかを確認することが目的です。また、書類やお金の流れを確認すると同時に社長にインタビューして事業内容や社長の経歴などを聞かれます。

経験のあるベテラン調査官の場合は、このときに社長の趣味の話や同業他社の話まで雑談として聞き出します。この雑談が曲者で、”単なる雑談”ではなくお金の流れを探るための”貴重な情報”にもなります。

税務調査で必要な準備

顧問先の調査の場合は、申告内容についてあらためて確認することはそれほど多くないと思います。また、業種や規模などからある程度の予測も立てられるので、社長に対する想定問答も作りやすいと思います。

ちなみに準備はこれで万全ではありません。冒頭でも触れましたが、雑談にまつわる話も準備が必要です。ところが調査官が何を聞いてくるかは事前に把握しようがありません。ここで重要なのは、”社長が隠し事をしていないかどうか”を確認することです。

意図して隠している場合は論外ですが、意図していない場合はやっかいです。たとえば、取引先との酒の席の話など。「取引先の○○は最近羽振りが良くて」や「接待が多くて毎月の小遣いじゃまかなえない」などです。

どちらも他愛もない話ですが、前者は取引状況や先方の申告内容を確認され、後者は社長の個人口座を確認されます。
こういったちょっとした会話を糸口にさまざまな方向から書類や実態を確認していきます。

ちなみに、気をつけたいのはバリバリの営業だった社長の場合で、事前に打ち合わせしていても話を聞いてくれることに気を良くして、不必要な一言を発することが多いです。

税務調査の一般的なスケジュール

規模や調査内容によって多少変わりますが、おおむね下記のようなスケジュールになります。中小企業に入る税務調査の多くは2日間でおこなわれます。調査の前に会計事務所と対象法人の社長に電話で連絡が入り、日程調整がおこなわれます。

日程はある程度は柔軟に対応してくれるので、繁忙期や出張など事情がある場合は交渉可能です。調査を実施する場所は基本的には本店所在地ですが、資料が自宅や他の場所にある場合は、その場所でも実施可能です。

ただし、やむを得ず他の場所で調査をおこなう場合でも調査期間中に社長立会のもとで本店所在地の会社を確認されます。ちなみに調査を受けたくないからと引き延ばそうとしても無駄です。正当な理由なく引き伸ばす場合は逆に心象悪くしてしまいます。

【初日】
午前中:社長インタビュー(10時スタート)
午後:実査(16時頃終了)

【2日目】
一日中実査(10時スタート、16時頃終了)調査により発見した指摘事項の報告

途中で資料請求や問い合わせなどがあります。お昼は、食べに行くので用意する必要はありません。2日目の午後に指摘事項の説明があります。抗弁することも可能ですし返事を保留することもできます。

受け入れる場合も受け入れない場合も後日書面で指摘事項と是正内容が通知されます。受け入れる場合は、内容に沿って修正申告をします。

税務調査にまつわる噂

調査を拒否することもできるのかというと建前上は可能です。前述でも触れましたが、すでに決まっていた長期の出張や病欠なども含めて延期や拒否は可能です。

映画「マルサの女」のような殺伐とした雰囲気はなくどちらかというと和やかな雰囲気で進められます。ちなみに「マルサの女」は国税局査察部で、令状を持って家宅捜索しています。

何もないことは稀ですがあります。いわゆる”是認”というものです。このことからも必ずしも誤りがあると掴んで調査に来ているわけではないということがうかがえます。

是認を勝ち取るために

法律は万人に向けて書かれているため、事業活動や経済実態と一致しないケースも出てきます。

そんなケースこそ会計事務所の真価が問われるところ。顧問をしている法人ならなおさらですが、日頃から処理や証憑類を含め条文を見据えた論理構成を考えるクセを身につけておきましょう。

善悪の判断はもちろんですが、できるできないの判断もできるようになります。特に顧問先に対して必要不可欠な説明をする際に効果的です。