日々の業務に対する視点を変えてみる

打ち合わせの準備はどのくらいしていますか。人によってさまざまなですが、想定問答を作り、そのときに必要となる資料を作成するなど、できる限り綿密に準備しておくことが大事です。今回は、実例をもとにクライアントや社内の打ち合わせの際に必要な準備についてお話します。

意識していないから答えられない

毎日のように様々な業務をおこなっていますが、なぜ、これやってるんだろうって考えたことありますか?

たとえば、現金残高を合わせるのはなぜか、とか、請求書はなぜ出すのかなど。今回は、質問の意図を考えることやその準備のひとつして視点を変えることについて紹介します。

ほんとにあった話

私が在籍していた事務所での話。ある顧問先の経理担当役員から

「現金出納帳ってなんでつけないといけないんですか?」

という質問を受けました。

この質問を受けたのは、当時の担当スタッフ。業界に10年いる税理士資格も持っているこのスタッフは、その顧問先の担当間もないこともあり何か意図があるのかと思って「持ち帰って検討してご連絡します」と答えたそうです。

それから、数か月後、契約は打ち切られてしまいました。

この例について少し考えてみましょう。

この場合、最も大切なことは、現金出納帳がなぜ必要かということではなく、相手の役員の意図を確認することでした。”なぜ、そんな質問をしたのか”、”何か困っているのか”を探る必要があったのです。

とはいえ、関係を構築する前の段階でいきなり「なぜ、そんな質問をするんですか?」とは聞けないので、まずはルールにのっとった話をするしかないでしょう。なぜルールにのっとるのかというと、担当役員から質問されていることに答える必要があるからです。そのうえで、「どうしましたか?」という話をするべきでした。

何を準備するのか

顧問先との打ち合わせの際は、事前に話す内容をまとめたり、想定される質問の補足資料を作ったりします。では、今回の準備は何が必要だったのか。まずは、前任者との引継ぎ。前任者にいつもどんなこと質問されるかなど事前に聞いておくことは大事でした。

特に先方担当者との関係が浅い段階での打ち合わせでは、今まで同様の報告をすることはもちろん、自分との関係構築をするための時間や話のネタも必要になってきます。

前任者との引継ぎ時にそのことも念頭に置いて質問しておくと打ち合わせの資料づくりに生かすことができます。

さらに先を見据えるなら

それと同時に、日常の業務に疑問を持つことも大事です。その疑問は、顧問先との会話でも生かすことができます。冒頭の「現金出納帳」であれば、「私もなんでつけるのか不思議に思ってたんですよね。で、考えてみたんですが・・・」という話ができたかもしれません。

また、意図のない質問や引継ぎされるべき質問をしてしまうと心証は悪くなりますが、入念な引継ぎをしたうえでの質問は、「うちのこと理解しようとしてくれているな」と比較的好印象を持ってもらえます。

ただし、先方の事情を鑑みない疑問をぶつけるのはNGです。こちら側から見ると無駄に思えることも先方にとっては必要なこと(必要悪とも言います)もあり、そのことに触れたがために心証を悪くすることもあり得るからです。

顧問先が聞きたいこと

ところで、顧問先から多種多様な質問を受けていると思いますが、何が聞きたいのかを考えたことありますか?

会計処理や税務の話を聞きたいことのひとつですが、実際、そんなに毎日会計事務所に聞かなければならない会計処理や税務の話があるとは思えません。

おそらく誰にも聞けないけど知りたいちょっとしたことを聞きたいんじゃないかと思います。今回紹介した「現金出納帳」はまさにそのいい例です。

その質問に答えられなかったこと、質問の意図を理解しようとしなかったことが、結果的には顧問契約の解約という結果を生んだんじゃないかと思います。

普段から少しだけ視点を変えてみる

普段やっているさまざまな仕事を、なぜやってるんだ?という視点で考えることで、なぜ、やらなければならないか、なぜ、やらなくていいのかを、顧問先や同僚などへ説明できるようになります。

面倒だけどやらなきゃならないことなど、顧問先の協力が必要なことが多々あります。そんなときに、法律で決まっているからという理由だけでは、膨大な日常業務追われている顧問先の担当者を説得できません。

なぜ面倒なのか、なぜ無駄なことなのかをわざわざ時間をとって考えることはそれこそ無駄ですが、普段から「これもっと効率的にできないか」や「なぜこの業務してるんだろう」などちょっと視点を変えて考えることで、新たな発見が生まれます。

そのことが最終的には”目に見えないサービス”につながると思います。