税効果会計の基本

税効果会計というと上場会社のみがやる会計処理と思われるかもしれませんが、非上場会社でも取り入れるメリットがあります。今回は、中小企業には馴染みのない税効果会計の基本についてお話しします。

税効果会計の基本

そもそも税効果とは何か、どういう会計処理をするのか、導入するメリットは何かなど、税効果会計の基本についてお話しします。

税効果とは何かを知る

税効果会計の基本1つ目は、税効果会計とは何かを知ることです。まずは、税効果について軽く触れておきます。

税効果会計とは、税会不一致の調整額をその調整額が解消される将来の事業年度で加減算して実効税率を用いて簡便的に各事業年度の税金費用(法人税等+法人税等調整額)を計算することを言います。

なぜそんなことをするかというと、「当期利益×税率」が「所得×税率」から求められる税金とは一致しないからです。

税務に携わっている方なら、当たり前のことかもしれませんが、一般の方はなぜそうなるかがわかりません。

そこで、当期に加減算した税務調整額のうち、将来解消される別表調整額を事業年度ごとに分類し、その上で各事業年度の課税所得を求めます。

そうして求められた金額のうち、将来課税所得を減らす効果があるものを「繰延税金資産」と言い、増やす効果があるものを「繰延税金負債」と言います。

繰延税金資産は、当期の税金費用からマイナスされ、繰延税金負債は税金費用にプラスされます。

ちなみに税効果を導入した場合は、「税引前当期利益×実効税率」と課税所得から求めた税金(法人税等)と税効果会計で求めた法人税等調整額の合算額は、ほぼ同額となります。

会計処理について知る

税効果会計の基本2つ目は、会計処理について知るというものです。1つ目を理解していれば自ずと仕訳もイメージできると思います。

基本的な形は下記の通りです。

  繰延税金資産 *** / 法人税等調整額 ***

  法人税等調整額 *** / 繰延税金負債 ***

まず繰延税金資産は、税金費用をマイナスする効果があるので法人税等調整額が貸方に、その相手方として繰延税金資産が借方に来ます。

一方、繰延税金負債は、税金費用をプラスする効果があるので、法人税等調整額が借方に、繰延税金負債は貸方に来ます。

では、翌期はどうなるかというと前期に計上した金額と当期の計上額を洗い替えして計上します。

導入メリットを知る

税効果会計の基本3つ目は、税効果会計導入のメリットを知るというものです。導入するメリットを知った上で導入の検討をしてみるのもひとつです。

税効果導入のメリットは、税負担が損益計算書上で把握できることです。キャッシュアウトしている税金負担(法人税等)と将来の税金費用が一目瞭然となります。

これによって貸借対照表には将来の減算税金費用(繰延税金資産)と将来の加算税金費用(繰延税金負債)が計上されることになります。

貸借対照表には簿外の資産負債も計上されることになるため、期末の正しい財務状態が反映されることになります。

導入メリットは会計事務所側にも

今回は、中小企業には馴染みのない税効果会計の基本についてお話ししました。

税務を考えた会計処理が主となる中小企業では、税務上損金参入されない費用を会計で計上することはあまりありません。

それは言い換えると経営者の思いと一致していない財務諸表になっているとも言えます。

経営者の思いとは、支出した費用の回収年数(償却年数)や賞与や退職金関連費用などです。

税務から見るとどちらも税務上の加算項目になる可能性が大きくその分別表調整が増えるので会計事務所からすると手間が増えます。

事務所の方針もあるとは思いますが、経営者と直に接する機会がある会計事務所の役割を見直すいい機会かもしれません。