決算書や試算表の分析指標の一つ「売上債権回転率」を用いることで、債権の回収状況を推定することができます。今回は、債権の回転率についてお話します。
売上債権回転率の必要性
売上債権回転率は、債権の回収状況を推定するときに用いる指標の一つで、決算書や試算表に計上されている債権額の滞留状況を推定することができます。
滞留とは、債権の計上から回収までの期間のことを言い、早く回収できると手元にキャッシュがあることを意味します。
逆に滞留期間が長くなると、キャッシュになるまでに時間がかかるため資金繰りにも影響するほか、債権の過大計上に発見にも役立ちます。
売上債権回転率は下記の算式で求めます。
売上債権回転率 = 売上高 ÷ 債権(売掛金 + 受取手形)
この数字が小さいほど早く回収できているということで良いとされ、数字が大きくなるにつれ、回収が遅いということで悪いとされています。
ただし、業種や業態によっても期間は変わります。
売上債権回転率からわかること
売上債権回転率を用いるのは、おもに決算書や資産表情の債権額の異常性を見るときです。
債権額が異常かどうかが気になるのは、銀行や新規の取引先など資金繰りを気にしなければならない場合です。
銀行は、融資の返済が滞りなく行われるかどうかが、新規の取引先の場合は、債権が回収できるかどうかを見るために用います。
ところで、業種や業態から見て滞留期間が大きい場合は、債権の過大計上を疑うことも必要です。
債権が過大ということは、回収されない債権が計上されていることになります。これは、債権の貸し倒れが生じている可能性をはらんでいます。
このような場合は、指標だけで判断するのではなく、債権明細をもとに掘り下げて調べる必要があります。
売上債権回転率で会社の債権回収状況が見える
今回は、売上債権回転率についてお話しました。
売上債権回転率は、会社の決算書に計上されている債権の回収状況を推定することができます。
そのため、金融機関や取引先など回収を意識するケースで重要視される指標の一つです。
売上債権回転率は、業種や業態によってある程度の基準値があるため、その基準値よりも多い場合は、債権の過大計上を疑う必要があります。
ただし、個別の事情も考えられることからこの指標だけで判断するのは危険で、債権内容の詳細は別途問い合わせしたりする必要はあります。